注染 手ぬぐい製作に関するお願い事と注意点

デザイン作成上のお願い事

基本的に、紙への印刷やプリント染色と異なり、あまり細い線や小さな点が表現できません。

下記の通り必要な大きさを確保しながらデザインを考えてください。

 

(1) 点の大きさ → 直径2mm以上

   型紙に使う紗(しゃ)のメッシュの細かさは縦横約1.2mmのため、点の大きさが

   2mm以下になると紗から剥がれ落ちてしまう可能性があるためです。

 

(2) 線の太さ → 2mm以上

   細い線(2mm以下)は型紙で表現できても、染め上がりで線が細くなったり

   太くなったりし、原図のイメージ通りに染め上がらない場合があります。

   そのため、基本的に線は2mm以上での作画をお願いしております。

 

(3) 隣あった色の配置 → 1cm以上の間が必要

   異なる色と色の部分を1cm以上の余白で離していただかないと色が混ざってしまいます。

   余白無しで配置できる技法もあります。(問題点ー(2))

(4) 生地の種類と用途によってサイズが変わります

   手ぬぐいのサイズは様々です。

   短い辺を「巾(はば)」と言いますが、巾は生地の種類によって異なります。

   長い辺(長さ)は生地の枚数によって、約±1~1.5cmの誤差が出る場合があります。

   【よく使われる生地の巾とその用途】

生地名称用途および特徴
総理約33cm手ぬぐいに用いられることが多く通気性が良い

細かいデザインの柄には不向き(にじみ易い)

約35cm手ぬぐいに用いられ、総理より表面が滑らか
特岡約36cm手ぬぐい・シャツ・浴衣用、耐久性有り
(特岡)尺五分約38cmシャツ・浴衣用
キング特岡約40cmシャツ・浴衣用

        素材は全て綿100%です

        総理は20番手という太めの糸を使用し、岡・特岡は30番手というやや細めの糸を使用しています

【手ぬぐいの長さと用途】

長さ用途
約85cm 以下販促品などの低価格のもの
約90cm一般的なサイズ(ただしハチマキ等被り物に使うには少し短い)
約100cm剣道や、お祭りで使うハチマキ等の被り物にはこの長さが必要
約110cm踊りなどの特殊な用途の場合

好みや用途に合わせてご希望の生地/サイズをお選びください。

 

(5) 一反から作れる手拭の本数 → 大体10~12本

   上記表の通り、用途によって手ぬぐいの長さは異なります。そのため「一反で○○本

   作れます」とは断言できかねますが、目安としては一反で10~12本が作れます。

生地種類一反の長さ
総理約10m
約11m
特岡約12m

一反の長さ÷手ぬぐいの長さ=一反で作れる手ぬぐいの枚数

注染の注意点

注染は近代的な繊維染色とは異なり、職人の手によって染料を作り、糊付け/染色を行っているため、

多くの注意点もございます。下記をお読みいただきご理解いただいてからご発注ください。

 

(1) 色やデザインの限界 → 混み合ったものは難しい

   隣り合った色の数が増えるほど、また、複雑に色が配置されるほどに作業工程が

   増え、色ムラや色が混ざってしまう可能性が高まります。

   デザインがお決まりの方はぜひ、弊社スタッフへご相談いただき、”染めやすい

   色の配置”もご検討ください。

(2) 2回以上の重ね染め → コストが上がる&柄がズレやすい

   1つのデザインに対して複数枚の型紙を作り、それぞれの型紙で染める事によって、

   「お願い事-(3)」のように隣り合った色の配置で1cm以上の間を作る必要が無く

   なります。(技法:細川染め)

   しかしながら、工程が型紙の枚数分増えるためコストが大幅に上がります。

   また、型がズレて染め上がる可能性も高いため、大変難しいです。

(3) 色付き生地で染める → コストが高い&変色の可能性がある

   白い生地を、先に一色で染め上げた生地を使って染める事ができます。

   (技法:クレア染め)

   しかし、地色を濃く染めると後から薄い色で染めても色が出なかったり、地色に

   影響して変色してしまう事があるので色の選択が難しくなります。

   また、作業工程が増えるためコストも上がります。

(4) 色の一致について → 目標色に合わせることが難しい

   職人が毎日の気温/湿度などを考慮して染料を調合しますが、毎回微妙に色が変わる

   ため、仕上がりの色にブレが出てしまいます。

   また、同じ発注の製品であっても反物ごとに多少色が異なってしまう事もござい

   ます。お客様ご希望の色に近づけるよう努力はいたしておりますが、ある程度の色のブレはご容赦いただけますようお願い致します。

 

(5) 生地の端の色合いについて → 色が濃く/カスれる事がある

   生地の端は縦糸が通常の2倍で織られているため、微妙に型がズレたり、色合い

   が他と異なって染上がる場合があります。

   これは生地の特性上、やむを得ない”注染の特徴”となっております。

   あらかじめご了承いただけますようお願い致します。

(6) 染ムラや変色について → 色落ちや変色が出やすい

   注染はその技法の特徴から、他の染色方法に比べると染ムラができやすいです。

   また、洗濯や直射日光によって変色する事もございます。反物から服や小物を作る

   場合には十分ご注意ください。

 

(7) 「取扱上の注意」表記について → 原則つけます

   「お取扱い上の注意」という、弊社名/電話番号入りのシールを全製品に貼らせて

   いただいております。

   ・会社名を入れないでほしい

   ・シール自体貼らないでほしい

   上記ご要望にも対応可能ですので、その際はスタッフまでお申し付けください。

(8) 折り返し部分について → 手ぬぐい以外の製品では目立つ場合も

   注染では染める際に、折り返しながら糊を付けた反物を染めていくため、折り返し

   部分の色が掠れたり、にじむ事があります。手ぬぐいの場合は仕上作業で目立つ部分

   は切り落としてしまいますが、浴衣やシャツを製作する場合には折り目が気になって

   しまう場合があります。

(9) 型紙の保存期間 → 2,000本~5,000本が限度

   型紙は染める度に傷み、劣化してしまう消耗品です。

   1枚の型紙で染められる手ぬぐいの本数は下記目安となっております。

   柄が少なく白い生地の部分が多い型で約2,000~3,000枚

   柄が多く白い生地の部分が少ない型で約5,000枚

   また、上記以外でも3年以上経過すると型紙の強度も劣化していきますので、使え

   なくなる場合があります。

(10) ボカシ染めについて → 全く同じには複数できない

   注染の特徴である「ボカシ染め」は、色の濃淡(グラデーション)を表現できる

   技術であり、柄に立体感や水墨画のような表現を加えることができます。

   しかしながら、生地への染料の浸透具合は毎回変わるため、「全く同じ濃淡で量産

   する」「前回と同じ濃淡で作る」という事ができかねます。各枚ごとに微妙に異なる

   濃淡も注染ならではの味わいです。

 

(11) シワの問題について → 微妙にタテのシワがある

   注染手ぬぐいは仕上げにアイロンを使っていません。そのため、水洗い時の加工シワ

   が目立ってしまう場合があります。

   これは、綿の持つナチュラルな風合いを大切にしているためです。あらかじめ

   ご了承ください。

 

(12) 見本染めについて → 現物の色は多少異なる

   実際にご希望の色で反物を染める「見本染め」を行っております。

   しかしながら、必ず見本と同じ色になるとは言えず、多少の違いは必ず出てしまい

   ます。また、1,000本以下のご注文ですと別途見本染め代をいただいております。

   見本染めは1回で手ぬぐい1,000本以上のご注文で承ります。

   それ以下の本数では1回20,000円いただいております。   

 

(13) 生地難の問題 → 多少の糸節や織段があります

   生地を織る際に、糸を継ぎ足す作業で糸が二重になったり隙間が開いたりする”織段”

   が稀にあります。これが多いと「生地難」になりますが、これも生地の特徴ですので

   あらかじめご了承ください。

    織段があまりに多い時にはご相談ください

   「特岡」というワンランク上の生地ですと発生率が低くなります


 より詳細な注意点は下記をご覧ください。

注染手ぬぐい手引書