(1)織機の機構
並べられたたて糸に一定の方式に従ってよこ糸を交錯させたものを織物と言います。織物を作る機械を織機といい、一般に、次のような手順で織られます。
1.たて糸を数百から数千本平行に並べて整えて(整形)巻いたものを織機に仕掛けます。(機ごしらえ)。この時に、「そうこう」や「おさ」にたて糸を通し(引き込み)ます。
2.それぞれのたて糸を、よこ糸の上になるものと下になるものに分けて口(ひ口)をつくります。(開口)
3.開いたひ口によこ糸を通します。(よこ入れ)。
4.ひ口に通したよこ糸を前にウチ寄せてつめます(おさ打ち)。
●開口装置
織物組織をつくるために、たて糸を上下に分ける開口装置にはタペット式、ドビー式、ジャガード式の3種類があります。タペット式は平織や簡単な斜文組織の製織に用い、ドビー式はタベット式では対応出来ない複雑な織物組織の製織に用います。ジャガード式は数百から数千本にもなるたて糸を制御し、いろいろな織物組織を組み合わせて、複雑な絵柄を織る事ができます。最近のジャガード機は、電子化され、紋意匠用コンピューターで作製したフロッピーディスクのデータから直接織れるようになり、紋柄作製の迅速化が図られました。
●よこ入れ方式
よこ入れは、元来シャットル(ひ)の中に、管状に巻いたよこ糸を入れて飛ばし、往復運動させてよこ入れを行って来ましたが、最近では、水や空気の力を使った、ジェット式、棒やベルト状のもので糸を運ぶレピア式、弾丸状のグリッパが糸をつかんで運ぶグリッパ式などのシャトルレス(無ひ)方式が多くなって来ています。
(2)織物組織
たて糸とよこ糸の交錯の仕方を織物組織といい、次のような種類があります。
(3)織物製造工程
織物の製造工程は、染色をどの段階で行うかによって、2つに分けられます。織物を織って反物としてから染色や捺染をする織物を後染織物といい、糸を染めてから織る織物を先染織物と言います。