「息のしやすい『らくなマスク』」が「息のしやすさ」(圧力損失)でJIS基準外になる理由。

らくなマスク

今年の6月にマスクのJIS基準が制定されました。

当社もマスクメーカーの端くれとして、この基準にあうか、らくなマスクEXにて「適合審査」に必要な試験を依頼し、その結果が出てきました。

 

○花粉粒子捕集効率  :>99.9%   (合格基準>95%)

○遊離ホルムアルデヒド: 20μg/g以下(合格基準75μg/g以下)

○特定アゾ色素    :   5μg/g以下(合格基準30μg/g以下)

○蛍光染料(本体)  :著しい蛍光を認めない(=合格基準)

 

と全て問題は無かったのですが・・・

「圧力損失」という項目が、合格基準60Pa/平方cm未満 のところ500Pa/平方cmを超えるということで「基準外」なってしまいました。

 

この「圧力損失」というのは、マスクを隙間なく口に当てて息をした時の通気性を測る試験で、説明では「息のしやすさ」という表現をしております。

ウレタンマスクなどは、とても良い数値が出る試験です。

下の図のように、試料(マスク)を固定リングに挟んで、ポンプで吸って、その圧力差を差圧計で測ります。

らくなマスクEXをはじめ、「らくなマスクシリーズ」は「下方吸排気方式で構造的に息をしやすくしている」のであり、逆にマスク表面に通気性の殆ど無い高密度強撥水ポリエステルという布地を採用しているので、この「圧力損失」試験には相容れないのです

 

JISという規格は、消費者保護の目的はもちろん既存のメーカーの権利を守る為に策定されておりますので、基本設計の段階で既存のメーカーの皆様で「マスクの通気性=息のしやすさ」という考えをお決めになると、私の基本設計思想とは妥協点がありません。これは仕方が無いことです。

 

ということでせっかく30万円ほど掛けてした検査でしたが、この件はこれでおしまいにすることにしました。

 

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