いざ、「透明マスク」を作ろうとした時「透明な布(織物・編物・不織布)が無い」というのが大きな問題である。
例えば「テグスみたいな透明な糸」で織物や編物を作ったとしても、出来たものは白濁色になり透明度が損なわれてしまう。
「紗」や「オーガンジー」などの、細い糸を低密度で織った布地は透けて見えるが、通気性が良すぎてマスクにはそのままでは使えない。織り密度を上げていくと透明度が落ちていく。
透明な布は将来的には開発されるかもしれないが、今は見当たらない。私も長年テキスタイル業界で色々な布地を取り扱って来たので開発の方向性は解るが、実現までには色々な困難が想定される。
となると、現在使える素材は、塩化ビニール、ポリエチレン、ポリカーボネートなどの「透明合成樹脂」である。それぞれ一長一短あるので実際に素材として使ってみて選別をすすめることにした。
次に形状である。
現在では「不織布サージカルのようなプリーツタイプ」「立体マスクの形状」があるが、いずれも「口をしっかりと塞ぐのが前提」なので、マスク本体に通気性の無い「透明合成樹脂」を使うと、間違いなく窒息してしまう。
ここで「マスクの定義」なるものを見てみよう。
「工場や建設現場で有害物質対策に用いられる「産業用マスク」には、国による検定規格などが定められています。しかし「医療用マスク」と「家庭用マスク」は、薬事法に該当しない「雑貨品」とされ、検定規格などがありませんでした。そこでマスクメーカーなどで作る日本衛生材料工業連合会は2006(平成18)年、消費者保護の立場から、マスクに「表示・広告自主基準」を定めました。それによると、「マスクの定義」は、天然繊維・化学繊維の織編物または不織布をおもな本体材料とする。口と鼻を覆う形状で、花粉やほこりなどの粒子が体内に侵入するのを防ぐ、かぜなどによる、せきやくしゃみの飛沫(ひまつ)の飛散を抑制することを目的に使われる、薬事法に該当しない衛生用製品としています。
ここで「口と鼻を覆う形状」という部分の解釈が問題になるが、マスクと顔の隙間については言及していない。当社の「らくなマスクシリーズ」はその下部に隙間を設け積極的に「下方吸排気方式」を採用しているが、「口と鼻を覆う形状」という点では間違いない。(この点については、あくまで『自主基準』なので本来の「飛沫飛散防止」という目的が達成されていれば、解釈はどうでも良いのだが)
もう一つ「天然繊維・化学繊維の織編物または不織布をおもな本体材料とする。」という部分については、ビニール等の合成樹脂プラスチックは該当しない。というかこの基準が出来た時は想定外だったから仕方が無いかも知れない。これも自主基準だから良しとしよう。
以上を前提に「透明な樹脂のシート」で「口と鼻を覆う形状」のマスクを開発することとなった。
写真はとりあえず作ってみた第1バージョンです。
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